ささやかなお誕生日会
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先日、私たちの病棟に入院している患者さんがお誕生日を迎えられたので、病棟でささやかなお誕生日のお祝いを行いまいた。施設やホームなどでは日常的にみられる光景かもしれませんが、急性期の病院ではなかなかこのような個人的なイベントを行うゆとりがないのが現実です。
患者さんは30代の男性。難治性の病気で何度も入退院を繰り返しておられる方です。もともと、牧畜業をされており、牛を育てることに関しては家族で一番しっかりとされていた方です。10年以上病気と闘い、気管切開や在宅酸素療法を行いながら懸命に治療に耐えておられます。
その日、誕生日ということを知った、レジデント(研修医2年目)が彼の持つ資格の「ホスピタルクラウン」の技を使ってバルーンによるサプライズ演出を行ってくれました。暗く沈みがちな彼の表情は、一瞬で和やかになり、この2、3年では一番和やかな笑顔を見せてくれました。私は病院の1階にあるコーヒーショップでケーキを購入して彼の病床まで届けました。看護師さんのサポートによって彼はケーキを口にすることができたようです。
同じ30代の自分としては、今健康でいられることに感謝しつつも、患者さんの病気が他人事には思うことができず、彼が病の中でも少しでも自分らしく、穏やかな時間を過ごしていただけたらと願うばかりです。