肺から古墳?新しい論文(ケースレポート)出ました
みなさんこんにちは。今週も1週間、お仕事お疲れ様でした。沖縄ではコロナウイルスの感染が猛威をふるっておりましたが、コロナが少し落ち着き始めたかと思うと、今度は巨大台風が次から次へとやってきて、まさに天才(天災)の年であります。
週末に予定されていた、久しぶりのオーケストラの練習も中止が決定してしまい、、またバッハの無伴奏で己と向き合う日々です。
今年に入ってから、当院では通常とは異なる診療体制がずっと続いています。もちろん、これからもコロナ患者さんをできる限り受け入れて、全力で治療にあたりたいと思います。しかし、地域で暮らす重い病を抱えた患者さん(ガンの終末期など)の生活も守ってゆくことを忘れないようにしたいですね。このような時だからこそ、在宅医療、訪問看護の力が重要になってきます。私の担当している肺がんの患者さん達も、体が弱って通院できなくなれば、できる限り、訪問診療、訪問看護へ切り替えて、住み慣れたお家で家族と共に暮らしていただくよう工夫をしています。ひとたび、病院へ入院してしまったら、コロナであろうとなかろうと、家族と面会できず、不安と孤独に押しつぶされそうな毎日が待っているのですから、、
前置きが長くなりましたが、今年初めての英語論文がpublishされました!
respiratory case report(RCR)という、アジアの権威ある雑誌です。
正体不明の気道異物のため、繰り返し大量喀血をきたし、IVRから肺葉切除にまで至った症例のケースレポートです。この症例のポイントは、長年、摘出困難な気道異物が気管支にあり、それによって気管支動脈の著しい拡張を来たして大喀血を起こしたこと。また、異物の形が非常にユニークてあたかも「前方後円墳」のようであったことです。
私は奈良県出身で、家の近くにたくさん古墳がありました。前方後円墳は鍵穴のような形をしており、大和時代、王家の権威の象徴でありました。「鼻から牛乳」ではなくて「肺から古墳!?』 古代日本史のロマンを感じさせるような、そんなユニークな症例でした。
当の本人(患者)に何度聞いてみても、『お酒で泥酔することはしばしばあったが、こんなケッタイなものを飲み込んだりした覚えはないよ』とのこと。真相は謎のままです、、
今回は、患者さんの救命のため、多くの先生方にご助力いただきました。とりわけ、迅速にIVRを施行いただいた放射線科の先生、肺葉切除を施行していただいた外科の先生には大変お世話になりました。各科のスムーズな連携、チームワークも中部病院の強みの一つでしょうか。本業である非結核性抗酸菌(NTM)の研究もまた少しずつ進めてゆきたいと思います。
エアガン(おもちゃのピストル)の弾(つづみ弾 と呼ぶらしい)ではないでしょうか。
昔、気管支学会で、小学生の頃プールに浮いていた鉛筆のキャップを吸い込んだ方が数十年後肺炎を来した というような報告のポスターを見たことがあります。