8/28 琉球新報に掲載されました

少し前の新聞記事になりますが、8月28日の琉球新報に私のインタビュー内容を掲載していただきました。取材してくださった新報の中村さんには御礼申し上げます。

内容はアドバンス・ケア・プラニング(ACP)に関するお話です。

コロナウイルスが沖縄でも流行し、多くの高齢者が犠牲となりました。

彼らは自分達がなぜ、施設から病院に搬送され、個室に隔離されているかもわからないまま、病棟の無機質な天井をずっと見つめていました。

家族に直接面会することも叶わず、お一人で静かに息を引き取られる方もおられました。

(ipadなどの遠隔媒体を利用して家族と対面された事例について、5月の琉球新報に掲載されております)

患者本人と家族,医療者や介護提供者などが一緒に、現在の病気だけでなく、意思決定能力が低下した場合に備えて、あらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護、本人に代わって意思決定する人を決めておくプロセスをアドバンス・ケア・プランニング(ACP)といいます。 ACPは平時から行っておくべきことだが、誰もがコロナウイルスに感染する可能性がある今だからこそ、大切な人と話し合いは重要になっています。

 医療者としては、高齢で寝たきりの人や介護を要する人などが肺炎になり重症化した場合には、残念ながら救命できる可能性が低いとされていることを率直にお伝えしています。

高齢で体が弱った人の肺炎が悪化した場合、人工呼吸器を使って延命を試みたとしても、機械につながれた管を抜くことができなくなり、治癒が難しいばかりか、本人にとっては辛く苦しい時間が増してしまうことが多いです。

 すべての医療行為は患者の救命や幸福な人生のためというのが前提ですが、人工呼吸や心臓マッサージ、電気的除細動などの「蘇生処置」は他の治療に比べ、体への負担が非常に大きいです。万一,自分が、家族がコロナで重篤な状態になった場合,これらの処置を希望するかどうかについて、元気な頃から話し合っておく良い機会ではないでしょうか。

 ACPで話し合う内容は蘇生処置だけではなく、介護が必要になった時にはどこで暮らしたいか、食事ができなくなった場合に経管栄養や胃ろうなどの人工的な栄養を希望するのか、自分の仕事や将来の夢など、社会的な役割を誰に託すのかなども含まれています。人生の最期に「生まれてきてよかった」と思えるように、その人自身が最期まで穏やかに、その人らしく生きられるよう準備しておく。そのための話し合いがACPなのです。

 ところが、ACP(人生会議)という言葉だけが先行してしまい、実際にこれを担うことができる人材は不足しています。自分の治療やケアを本当に医者だけに任せておいて良いのか?それで幸福な人生が送れるのか?医療職以外の方にも真剣に考えていただきたいのです。

 私は地域でACPを担える育成が急務だと感じ、エンドオブライフ・ケア(ELC)協会の認定ファシリテーターとして、医療者に加え、地域の住民にも分かりやすい内容で学習会を開催しています。どんな病気になっても、どこで暮らしても穏やかに過ごせる沖縄を創ることが私の夢です。ACPに関連したお問い合わせ、講演会(zoomでも可)に関するお問い合わせはELC沖縄 elc.okinawa@gmail.com(代表)まで。

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