終戦記念日
今日はお仕事以外のお話を少しだけ。
8月15日は終戦記念日でしたね。沖縄では旧盆の最終日(ウークイ)といって、ご先祖様の御霊をあの世に送り出す日にあたります。(沖縄の旧盆は旧暦のため、毎年、日にちが異なります。)
この時期になると各地でエイサーの太鼓の音が聞こえてきます。太鼓の音は力強さの中に温かさがあり、近くにつれて身体の奥のほうまで響いてきます。太鼓はたくさんの人々が一斉に叩くため、少しずつずれて聞こえてきますが、それがなお一層、趣深さを出しています。
車の中で、沖縄の有名バンド「HY」のCDを聴いていました。HYは沖縄中部の出身で、Hは「へしきや」、Yは「やけな」の略だとか。訪問診療で彼らのふるさと方面へ出かけることが多いのですが、とてものどかで静かな場所でした。
HYの曲の中で「時をこえて」という曲があります。ボーカルの仲宗根さんが、お祖母様から聞いた昔のお話の内容を歌詞にされています。
「昔の話を聞いたのさ 自由な恋すら許されず おばぁーは泣く泣く嫁いだよ あの人に別れも告げぬまま 昔の話を聞いたのさ 火の粉が雨のように降る おばぁーはとにかく走ったよ あの人の命を気にかけて 曲がる腰 細い足 おばぁーの生きてきた証 その笑顔 その言葉 変わらぬものもある… 胸に刻みなさい あなたのその鼓動 昔、昔に繋がる この命 大切に生きなさい」
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優しく温かな旋律の中に、地上戦を経験したおばあの壮絶な過去が回想されています。この歌を初めて聞いた時、自然に涙がこぼれてきました。私の担当患者さんでも、戦争で家族を目の前で失ったお話や、やんばるへ逃げ込んで何日間も山を彷徨い、マラリアに感染して動けなくなっているところを米軍に保護された経験などを話してくれた方がいました。
平和であることが当たり前の時代に生まれてきた私ですが、昔の人たちが大変な思いをして命をつないできてくれたことに感謝し、沖縄がこれからもずっと平和であるように、平和の象徴であるあのエイサーの音がずっと響く沖縄であることを祈りながら、、慰霊の日は静かに過ぎてゆきました。