折れない心を育てる
本日はハワイ・沖縄 医学教育フェローシップに参加し、教育者を目指す医師向けに
「いのちの授業」をお話ししてきました。
このフェローシップは、琉球大学が中心となり、沖縄全体で取り組んでいる教育プログラムで、医師の教育に興味のある若手医師が毎年受講しています。
いのちの授業は本来、中学校や一般の方向けに作られたものですが、私はこのテーマは年齢や職種を超えて共通するものであると考えており、今回、医師にお話しすることを決意しました。
みんな退屈しないかな、、馬鹿にされないかな、、と少し心配しながら。
聴講者は
フェロー7名
講師4名
計11名でした。
少人数だったので、みなさん最後までしっかり聞いてくださいました。
医師は初期研修の2年間で大変な激務をこなし、一人前なるためのスキル、知識を体得してゆきます。
しかし、研修の道のりは平坦なものではなく、いろいろな壁にぶつかってしまう研修医も多くありません。
現場は綺麗事ではありません。どんなに机の上で勉強し、優れた技術があったとしても、解決困難な苦しみを抱えた患者さんを目の前にすると、答えが見つからず、足が遠のいてしまうことがあります。
ほとんどの医学部生は「こういう医師になって苦しむ患者さんの力になりたい」と思って医師を志しています(そう信じたい!)。
しかし、実際の現場は綺麗ごとではありません。
「病気になって家族に迷惑をかけるくらいなら死んだほうましだ」
「どうして私だけこんな病気になったのか・・どうして私だけ苦しむの?」
という答えのない苦しみに直面したときに、
「自分は何の役にも立っていない、必要とされていない」
と感じてしまい、苦しむ医師も多いはずです。
実際、私も研修医のころは苦しみの連続でした。
自分の力不足のために疾患の診断が遅れ、患者を苦しめてしまいました。
上司にも怒られて、疲労も重なって病棟へ行くことが大変困難に感じました。
終末期の患者さんに寄り添いたかったけれども、家族の苦しみを受け止めきれず、夜中に呼び出されて患者の家族に怒鳴られて何も言えず、、すごすごと帰った夜もありました。
今働いている病院の研修医は、昔の私とは比べものにならないくらい優秀で将来有望な若者たちです。
彼らが、研修の最初で心が折れないように、支えとなる関係を見つけて、将来の夢を語れるように、自分を認めて人に優しくなれるように、、と願いを込めながら、いのちの授業の講演をおこないました。
ハワイ沖縄医学教育フェローシップは卒業したフェローに対しても連絡を欠かさず送ってくださり、私のようなアルムナイにも発表の機会を与えてくださる貴重な「私の帰る場所」であり、大切な支えでもあります。
いつも私を温かく出迎えてくださる講師の武村先生、尾原先生、北原先生、そして中曽根みずのさんに深く感謝いたします。
フェローのみんな、がんばって!!!