書籍のご紹介

私もファシリテーターとして所属する、エンドオブライフ・ケア(ELC)協会、理事の小澤竹悛先生の著書、「いのちの授業」を拝読しました。

大好評の本なので、今更私がご紹介する必要もないかもしれませんが、この本は小学生から高齢者まで、老若男女あらゆる職業の方に楽しんでいただける名著であると確信しています。

内容は2人の中学生と在宅医「めぐみ先生」との会話で進行してゆきます。

ほのぼのとした穏やかな雰囲気の中で、思春期の中学生の抱える悩み、苦しみがリアルに描写され、それをめぐみ先生は優しい眼差しで見守っておられます。

苦しみはなぜ生まれるのか? 苦しむ人を前にして私にできること、苦しみから支えに気づく、そして自分を認め大切にすることをめぐみ先生の言葉で私たちにわかりやすく解説してくれています。各章ごとでまとめのポイントを入れてくださっていることも理解が進みとても親切だなと思いました。

また、重要なメッセージにもラインが引かれており、会話のキーメッセージが強調されており、一回読んだだけもすっと頭に入るようになっています。

私たちの活動は、大切な人の苦しみに気づき、苦しみから学ぶ文化を作ること。「自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい」ことに皆が気づき、お互いが支えになるコミュニティが生まれる。そうすることで自己肯定感が高まり、自尊感情に気づきレジリエンスが高まるという文化の創造をめざしています。援助を言葉にできた時、人生の困難を抱える人たちへと関わる自信が生まれることでしょう。本書は優しい語り口調の中にも、「世の中を本気で変えたい」と願う、小澤先生の熱い想いが込められています。

医師の立場からとしては、援助的コミュニケーションの技法である「反復」「沈黙」「問いかけの」有効性を証明する文献、書籍などをご紹介いただければ、より根拠をもって人々におすすめできるのではないかと思いました。

この本は、文字が読める日本人であれば誰もが楽しむことができ、職種、年代、性別を超えて親しめる名著であります。読了も1〜2時間で可能です。

是非、苦しむ人の力になりたいと願う皆様に読んでいただきたいと願っております。

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