1日2回の講演

11月12日は早朝7時30分より内科医師向けにGround Round.仕事の後は那覇市立病院へ直行して外国人診療対策勉強会で事例のプレゼンを担当します。 こちらは医療従事者向けです。

1日で全く異なる場所で、異なる内容の講演を行うのは初めてかもしれません。

ちょっとどうなるか心配ですが、皆様のお役に立てるよう、最善を尽くすのみです。

GRで私がお話する内容は、非結核性抗酸菌症(NTM)についてです。この分野についてまとまった講演を聞くことは、学会以外ではあまりないと思います。NTMについて簡単にご紹介します。

非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria: NTM)は,抗酸菌の中で結核菌群とらい菌などを除くものを指します。患者さんには「結核の親戚みたいな菌ですよ」と説明しています。 NTMは世界中に分布している環境常在菌であり,土壌や水などから検出されます。 通常,ヒトからヒトへの感染,動物からヒトへの感染はないとされています。同じ抗酸菌である結核菌が環境中では長く生存できず,ヒトからヒトへの感染を繰り返すこととは対照的であります。 世界中で様々な菌種によるNTM症が確認されています.

 近年の疫学調査では,国内における肺NTM症の罹患率が,7年前と比較して2.6倍と急激な勢いで上昇し,2014年以降は肺結核の罹患率を上回り,公衆衛生上,重要な感染症となりつつあります。  肺NTM症は上述の通り,原則としてヒトからヒトへの感染がありません.このため肺結核のように排菌患者に対して結核菌のような厳重な隔離などは必要としません.一方で,抗菌薬に治療抵抗性で、お薬だけでは完治に至らない菌種が多いこと,結核治療と異なり治療期間が年単位の長期に及ぶとことなどが特徴的であります。

NTMは肺に感染することが最も多く、肺NTM症と呼んでいます。NTMは知られているだけでも184種類程度の菌種があり、そのうち病原性(人体に悪さをするもの)を有するものは50種類くらいと言われています。日本ではMycobacterium avium complex(MAC)といわれるものが8割、ついでMycobacterium kansasii, Mycobacterium abscessus complex(MABC)と続きます。

MABCは私の重要な研究テーマのひとつです。台湾,韓国ではMycobacterium(M.) avium complex(MAC)に次いで検出頻度が高く,日本本島では稀な菌種であるが,近年,沖縄本島でMABCが高頻度に検出され注目を集めております。 筆者の調査では,MABCはMACに比べて慢性閉塞性肺疾患(COPD)および気管切開を受けた患者に多くみられまた.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5653325/ 

また、MABCの亜種(subtype)によって,臨床経過やマクロライド系抗菌薬に対する感受性が異なる可能性があり,今後の知見集積が望まれます.

外国人診療の勉強会については、二見茜さんのお声掛けで参加させていただくこととなりました。沖縄は外国人の患者さんが本当に多いです。

これからはもっともっと多くなることでしょう。

人種や宗教、文化、制度を超えて適切な医療を提供し、彼らの力になるために私たちに必要なことは何でしょうか。

二見さんをはじめ、経験豊富な発表者の方々のお話を聞いて学んでゆきたいと思います。

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