論文発表
3年間にわたって取り組んできた研究が英語論文として世に出ました!
アメリカの看護系の雑誌:Journal of Hospice & Palliative Nursingに掲載されました。下記から無料でご覧になれます。
FEATURE ARTICLE
Can We Be at Peace With Unsolvable Suffering? A Qualitative Study Exploring the Effectiveness of Supportive Communication and Resilience Building
~解決困難な苦しみがありながらも私たちは穏やかになれるのか?援助的コミュニケーションとレジリエンス育成の効果に関わる質的研究~
ELC沖縄では、コロナ禍においても学習会をオンラインで継続していますが、この研究は2019年1月から2020年12月までに対面で開催された6回を対象として行われました。受講から3か月後、参加者には現場での実践と学びのふりかえりを目的としたインタビューを行い、記録の分析を経て、以下の教育効果を明らかにしました。
・苦しむ人を援助する援助者自身の苦手意識が改善され、意識と行動に変化が生まれたこと
・これらは、仕事や日常生活やグリーフケアに応用可能であったこと
・参加者と患者の関係性に変化が見られたこと
・解決困難な苦しみを抱えた人との関わりに寄与する援助的コミュニケーション(反復、沈黙で待つこと、支えを強める問いかけ)を、ロールプレイで学ぶことができたこと
学習会は以下をゴールとして行われました。
・苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしいこと
(私が理解するのではなく、相手が自分ことをわかってくれたと思うこと)
・解決困難な苦しみ(スピリチュアルペイン)がありながらも穏やかさを保つ条件としての支えに気づき、その支えを強めること
・力になれない無力感を感じながらも、自らの弱さを認め自分を大切にすること
コロナ禍で社会的孤立の広がりが懸念されるなか、解決困難な苦しみを抱えながらもレジリエントな人とコミュニティを育んでいくために、本研究の成果を応用していきたいとされています。
この出版に至るまでは、本当に壮絶な苦闘、挫折、苦しみがありましたが、共著者の千田恵子さん、小澤竹俊先生の温かいサポート、そして学習会を支えていただいたELC沖縄のメンバーに心から感謝の気持ちでいっぱいです。
また、日本語的な言い回しの多い内容であったため英訳に相当苦労しましたが、小学校の同級生である千葉美和さんに校閲をしていただきました。30年来の幼馴染と一緒に価値ある仕事ができたことに感無量です。
私たちの広めようとしているマインドが世の中に広まり、争いのない穏やかな世界がいつか訪れることを信じて、、これからもできることをやっていきたいと思います。