いきがいカレッジでの講演「肺炎のお話」

 先週末は、沖縄市のデイサービス、いきがいクリエーションで「みんなでうふいち」という内容で講演をさせていただきました。新しい時代「令和」を迎え、日本はどのような社会を迎えるのでしょうか。AIの活躍、労働者の不足、グローバル化、人口減少などなど、、今回は「いきがいカレッジ」という地域の学習会に招かれて、地域の高齢者の方々向けに呼吸器のお話をさせていただきました。また、人生の諸先輩方にこれまでの人生を振り返っていただき、これまでに大切にして来たものや、これからの夢について語っていただきました。

 肺炎は日本人の死因の第3位となり、高齢化社会の中で今後も増えてゆくことが予想されます。よく質問を受けるのが、「肺炎と風邪の違いは何ですか?何か症状で見分けるこつはありますか?」という内容です。確かに風邪と肺炎はよく似た症状ですが、いくつか鑑別点があります。

 ①37.8度以上の発熱:風邪でも熱が出ますが、38度以上の発熱はインフルエンザなど特別な風邪を除いてはまれです。このような高熱が続く場合には風邪に加えてもっと他の感染症、炎症が起こっていないか考える必要があります。 

 ②喀痰の増加、色の変化:喀痰(たん)は肺や気管支にたまったゴミを排出されたものです。普段は体の様々な仕組みが働いて、肺や気管支にゴミが入らないように防がれているので、たんはあまり出ないか、あっても少量で透明もしくは白色です。肺炎、気管支炎など下気道に炎症が起こると、痰の色が黄色もしくは緑色、鉄錆色(赤褐色)に変化します。このサインを見逃さないことが大切です。

 ③普段感じることのない息苦しさ:肺は酸素を取り込むために、肺胞と呼ばれる空気の袋がたくさん集まってできた臓器です。例えるならば、海ぶどうのような小さな風船がたくさん集まっています。肺炎になると炎症で風船の中にウミや水がたまります。風船が水浸しになると酸素を取り込めなくなり、息苦しい症状が出ます。呼吸がハアハアして肩を使って息をします。少し動くだけでも全速力で走ったくらいの息切れを自覚します。これらの、高熱、痰の色の変化、息苦しさは肺炎に特徴的と言えますが、高齢者や寝たきりの方ではこれらの症状がほとんど見られないこともあります。「何となく元気がない」「いつもより食欲がない」「今日はなかなか起きてこない」などの分かりにくい症状のこともあります。

 肺炎の診断、治療、予防法(口腔ケア、リハビリなど)についてもお話させていただました。詳しいお話を聞きたい方は私を講師で呼んでいただければと思います。 カレッジの後半は、参加者の方々に昔の苦労話、思い出について語ってもらいました。沖縄戦を生き抜いて本土復帰を経験した方々から語られる言葉には非常に重みがあって、感動的です。参加者の一人、トメさん(仮名80歳女性)のお話「私は昔から歩くのが好きだったんです。海眺めながら歩くのは最高ですよ。どこまでも続く海の無限の広がりを見ていると、自分の存在はなんて小さなものなのかって思うんです。辛い時に海を眺めているとね、自分の悩みがとても小さなものに思えて、気持ちが軽くなってゆくんです。自宅が宜野湾市なのですが、一人で名護までずっとずっと歩いたこともあるんですよ。みんなにそのことを話したら、大抵はびっくりされますけどね。今はもうそんなに歩けないから、息子や孫には私のように歩いてもらいたいんだけどね、それを言ったら宜野湾からなどまではさすがに無理さって言われちゃいましたよ。笑」。自分の足跡、生きて来た証しをお話すること、自分の夢を残された人々に託すことで人は自分の尊厳を保つことができるのではないでしょうか。自分の体が衰えて動けなくなり、自分の夢、希望を叶えることが難しくなったとしても、「尊厳」を保つこと、「委ねること」で人は「穏やか」でいられる可能性があります。最後は私のViolaとエスターさんのアコーディオンの生演奏で「いきがいの街」という歌をみんなで合唱しました。大きな声で歌うことで、口の周り、舌の筋肉が自然に鍛えられ、肺炎の予防にもつながります。「音楽を交えて、楽しく肺炎予防」が私の理想です。

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