私の研究とバッハの音楽
沖縄はずっと雨が続いていましたが、本日は久しぶりの晴れ空です。
日常を忘れて久しぶりに空を見上げながら雲の流れをゆっくり眺めていると日常の些細なことはあまり気にならなくなりますね。今週末は年に1回の呼吸器学会総会です。昔は年に一回の大イベントで日本中の呼吸器内科が東京(大阪または名古屋)に集まって盛り上がっていましたが、コロナ時代になってからはオンラインで沖縄にいながら、皆様の発表を拝聴できるようになりました。
全国の呼吸器内科の先生方、、皆さん本当に素晴らしいです。誠実に臨床に向き合っておられる方々の研究、発表には命が通っています。研究や論文は自らの名声のためではなく、世の中の人々、周りにいる多くの同志たちの役に立ってこそ輝くものだと思います。私も久しぶりに演題を出させていただきました。タイトルは「Mycobacterium abscessus complex(MABC)による肺病変の画像的特徴」であります。スライドを送付してからいくつかミスに気がつきましたが、、ついに修正することができませんでした。
私は呼吸器学の発展のために何ら大きな貢献はできていませんが、、一つだけ誇りに思っていることがあります。私は沖縄でMABCが他地域よりも高頻度で見られるということを発見し、報告いたしました。これまで仮説はあったかもしれませんが、実際に症例を検討してまとめたのは私が初めてだと思います。https://journals.plos.org/plosone/article…
この研究が世に出たのは、前の病院で働いていた恩師の網谷良一先生が「長野くん、これからはアブセッサスが面白くなるかもしれないよ、研究してみたらどうかね?」とお声かけくださったことがきっかけでした。網谷病を発見された偉大な恩師は、抗酸菌の未来も予測されていました。
また、琉球大学病院の金城武士先生には、臨床研究のノウハウを数多く教えていただきました。今はコロナ関連の前向き研究などで雲の上の存在になってしまいましたが、、、金城先生に出会うことができたのもATS(アメリカ胸部学会)があったからでした。学会はお金がかかりますが、このような貴重な人脈を得る場でもありました。オンラインは便利ですが、このような機会が失われるのは少し寂しいですね。
最近、ブログを書くときに聴く音楽は、バッハの「フランス組曲」です。この曲は80分くらいあり、私の集中力が切れる時間とちょうど同じです(笑)。人一倍、いろんな音楽をたくさん聴いてジャンルを問わず好きな曲はたくさんありますが、、、最終的にはバッハに戻ってきます。バッハの音楽は「巨大な建築物」とか、「大海のようだ」と言われていますね。自然と調和しているというか、、大自然から生まれてきたというか、、それを全て計算して作っているからすごいですよね。。。人類の貴重な財産です。バッハを聴いていると、自分の研究などが本当に取るに足らないものであることが認識できて、かえって心が平静になります。
100年後、誰が私のことを覚えているのか、、?多分皆無でしょう。
それでも、死ぬまでにMABCの論文をあと1、2本出せたらな、、と小さな私は思います。本当に世の中の役に立つような論文を書きたいです。